頭のいい子はみな「直感力」を鍛えている

小学校低学年から高学年、そして中学生へ……。周囲に私学を受験する子も増える中で、わが子の成績や先々の進路がまったく気にならない親はいないだろう。どうすれば少しでもいい点が取れ、より上位の学校に進学できるのか。そもそも子どもにやる気を起こさせるには? 


 約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。今連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。


 【ご相談】
 小6と中2の男の子を持つ母親です。近年、ロジカルシンキング、つまり論理的思考が重要であるということをよく耳にしますが、実際に子どもたちに論理的に物事を考えてもらうためには、どのようにしたらよいか悩んでいます。
 国語や数学、算数でも論理的思考をつけられると聞いていますが、どうも私が見ている様子だと、そうでもない気がします。何か特別に論理的思考をつけられる講座を受けるなど何らか取り組んだほうがよいのでしょうか。
(仮名:中村さん)


■ そもそも、論理的思考の重要性は? 

 まさにおっしゃっていただいたとおり、近年、論理的思考の必要性が叫ばれています。私も、そのとおりであると思います。

 論理とは物事を筋道立てて説明する、または考えることであると思いますが、学問の世界における「仮説→検証」という構造も論理の一種でしょう。現代社会も論理がなければ成立しないでしょう。

 論理的であれば、説明が体系立てられ、話がわかりやすくなります。ですからプレゼンテーションや論文などのアウトプットでは、論理的であることが重要です。

 しかし、私はここに落とし穴があるとも感じます。あまりにもこのアウトプットが重要であると喧伝されているため、視点がどうもそこだけに行きがちであるように思うのです。

 つまり、論理の勉強に気を取られすぎると、プレゼンテーションの達人にはなっても、中身がなく、斬新さがない、という残念な結果になることも少なくないと感じます。

 では、いったい何か欠けているのでしょうか。それは、「感性」だと思います。


国語では読解力が重要だと言われていますが、これは論理的に読めるかどうかということと同じ意味で使われたりします。しかし、○○と○○は同じことを言っており、●●と○●には違和感があり、〇〇と●●は同じものではないと認識するためには、まずは感性で判断しなくてはなりません。

 たとえば小説を読んで答える問題では、感性でもって、登場人物の心の状態になって読み進めていくと解答はおのずと出てくるのですが、どうしても表面的な活字に振り回され、中身よりも形を優先してしまい、間違った答えを出してしまうことが多いようです。

 論理、論理、論理……「理屈でいけばこうだよね」と論理を積み上げていって結論が出る場合もありますが、実社会では、その論理を積み上げた上の結論が間違っていることが少なくありません。

 「A=B、B=Cであるならば、A=Cである」というようには、現実にはなりません。実際は「A=Cであるようだと直感で感じ(仮説)→ なぜだろうと疑問が出て→ それはA=Bであり、B=Cであろう」ということがわかり、それを逆に組み立てると、「A=B、B=Cであるならば、A=C」となるのです。

 このときの直感で判断した仮説は感性が生み出したものであり、論理によって生み出されたものではありません。この感性抜きには、実は論理は成り立たないのです。



■ 感性はどうやって育てるか? 

 私はこれまで塾で多くの生徒を指導してきましたが、頭のよい子は、この感性が優れていました。つまり、理屈よりも感覚でとらえる力があるのです。論理だけが頭のよさを促進しているのではない、と私は断言できます。

 世間を見回してみても、論理力よりも感性が強い人のほうが、勉強も仕事もできるように感じます。理屈ばかりこねる人は仕事ができないとよく言われますが、まさにこのことを意味しています。

 さて、では子どもの感性を高めるにはどうしたらいいか。私は生徒の感性を高めるために、テキストの題材を使いながら高めていきましたが、家庭で子どもの感性を育てるためにはどうすればいいでしょうか。

 一般的に、感性を高めるためには「多様な体験をさせる」「美しいものに触れる機会を増やす」とよいと言われています。自分とは異なる境遇の人と話をしたり、普段、見慣れない景色を見たりすることで、多くの刺激を受けます。大自然に触れることは、その最たるものでしょう。

 しかし、家庭内で実施できるより効果的な方法があります。それは、ある“マジックワード“を日常生活に取り入れることです。

 現代の教育では「何? (WHAT)」「誰? (WHO)」「いつ? (WHEN)」「どこ? (WHERE)」、もしくは「どっち? (WHICH)」といった質問に答える勉強が多いのですが、教育において最も大切なことは「WHY? 」と「HOW? 」です。

 テストには「何? 」「誰? 」「いつ? 」「どこ? 」「どっち? 」が多く出題されるため、知識だけで十分と思いがちです。そう考える人は、学校の勉強なんて社会に出てからまったく役に立たないと言ったりします。

 しかし、これは誤りです。役に立たない方法で知識を頭にたたき込んでしまったから、そう思ってしまうのです。

 私が指導した生徒の中で非常に“頭のいい子”は、つねに「なぜか? (WHY)」「自分はどう思う?  どうする? (HOW)」という2つの視点が勉強の中に入っていました。意味を理解し、結果として知識がインプットされるというプロセスこそが、本物の教育です。

 「なぜ? (WHY)」は論理思考を育成し「自分はどう思う?  どうする? (HOW)」は感性を育成する“マジックワード”です。私は授業において、これらを取り入れてきました。次はその一例です。

私:(国語の授業で)「このときの主人公の気持ちは? 」

生徒:「悲しい気持ちだと思います」

私:「なぜ悲しい気持ちになる?  違う気持ちになる人もいるんじゃないの」

生徒:「この文章の中で、主人公が暗い面持ちで歩く場面があるのでそう思いました」

私:「じゃ、もし君がこの場面にいたらどういう反応する?  同じように悲しげな行動をとるかな? 」

生徒:「たぶん、そんな気持ちにはなりませんね。この主人公と僕はちょっと性格が違うかも」
 このように、「君はどう思う?  君ならどうする? (HOW)」という視点を入れるのです。


国語の授業では、通常、このような質問はしません。あくまでも文章に書いてある範囲で、物事を考えていきます。しかし、「君ならどうする? 」と言われた途端に、それまで受け身だった頭が主体的に働きだし、心が動き、自分事となって、生徒はこの文章の世界に引き込まれます。世界に入ってしまえば、答えががぜん変わってきます。

 国語ができる人は、文章の中に自然と入り込み、自分が主人公になっています。しかしほとんどの生徒は、これができません。なぜなら問題を解くため、どこに答えがあるか探すために読んでいるからです。

 本当は設問を気にせずに文章の世界に入れば、結果として設問は解けてしまうのです。そこで私は、いつも生徒を文章の世界に引き込みました。その魔法の言葉が「君はどう思う?  どうする? (HOW)」でした。

 冒頭でもお話しましたように、論理はとても重要です。しかし、高度な読解は論理と感性の相互作用で理解していきます。論理ばかりに目を向けずに、感性を高めることを優先すれば、本質的視点で物事を判断できるようになっていきます。

 話題は日常の些細なことでいいと思います。友達とのこと、学校のこと、趣味のこと、ケンカしたこと、テレビでのニュース……何でも題材になります。

 「なぜだと思う? (WHY)」「あなたはどう思う?  どうする? (HOW)」という2つの視点を、日常の子どもさんとの自然な会話に取り入れていただくと、いずれ大きな効果が出てくるはずです。


(2015.2.5 東洋経済から転載)

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